2017-06-03

久しぶりに小話掲載


仕事以外では元気です。気がつけばもう6月ですね。はっや!←
原稿(予定)も元気に行き詰まっています……ぐす。

思わず息抜きで、久しぶりに真田主従書きました。
pixivに載せるほどの文章量でもないので(多分)ブログ掲載。
真田主従書いたの久しぶりすぎてどっかおかしいとこあるんじゃないかな……不安ですが、載っける←
佐助の装束がいつもの迷彩でないのは、単に私の趣味です。第二衣装のあの黒衣の恰好良さったらない……。
2のときの、真田主従の距離感とか関係性がすごく好きです。……言ってるとやりたくなるんだよなぁ。

本命の文章が降りてくるまでは、しばらく息抜きの文章書いていそうです(笑)


***

朝焼けの太陽に決意を示すのならば、夕暮れの太陽には散った命と散らした命を想って泣こう。

それは、いつからかわからぬが(当人すらわからぬものを、他人がわかるはずもないのだが)、真田幸村のなかでの戦が終わったあとの決まりごとだ。
最初は、号泣だった。
大音声で泣き、それはむしろ周りが困惑するほどだった。彼のしのびの力を以てして黙らせなければならないほどに。
けれども戦の場を重ね、目にする屍の数を増やし、彼自身の齢を重ねるごとに、泣きかたが変わっていった。

いまではもう、号泣する姿は見られない。けれども代わりに、夕焼けに、或いは降り注ぐ雨に、幸村はひとり、静かに涙を流すようになった。そこに余人が立ち入る隙はなく、故にまた、術もない。……はずだ。ただひとり、彼のしのびを除いては。


「……佐助か」

彼方に沈んでいく陽に瞑目していた幸村が、口を開く。その背後、僅かに離れた場所に配下らしく膝をついた佐助は、顔半分を覆う口布の下で複雑に唇を動かす。音もなく降りたはずなのに。声にせず思った佐助はいつもの、色とりどりの草木模様をした装束でなく、黒衣を纏っている。刻限か、と幸村が呟く。佐助は首肯する。そうかと口にした幸村が、緩やかに瞼を開き、もう一度閉じる。
幾らかの後、再び瞼を開いてゆっくりと佐助を向く。
見る限り、幸村の顔に涙の痕は、ない。

「行くぞ」
「はいよ」

出立を待つ陣に向かって歩を進める幸村は、もう振り向かない。括った幸村の髪房が、緩やかだが僅かに臭う風にたなびく。尾を引くようなその先で、太陽が沈む。その際を、佐助は一瞥して幸村の後を追う。

やがて名残の赤が消えて、黒い闇夜が訪れる。

「佐助」
「なぁに?」
「此度の働き、あっぱれであった」
「恐悦至極」

恭しく返した佐助に幸村が笑みを浮かべた。佐助は知らず、安堵する。
弔いの火は彼方に潜み、幸村の眼には次の戦の火が宿る。
ああ、と佐助は胸内で溜息を洩らす。

彼は、どう在っても戦の申し子なのだ。



【戦火の赤虎は夕暮れに弔う】
プロフィール

如月 祐

Author:如月 祐
2月生/O型
とっくに成人済みの歴女の端くれでオタク。
愛猫を文字通り猫可愛がり中。
春になると京都奈良に行きたくなる。
読書はストレス発散。

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